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独り言 その壱千七百五拾六

 大きいだけの鈴蘭です。



 明智光秀を主人公とする大河ドラマが始まりました。
 明智光秀といえば、日本史における大事件の一つ『本能寺の変』を起こした首謀者として有名です。
 歴史に関心のない人でも、日本人であれば一度は聞いたことがある名前でしょう。

 しかし、その知名度に反して、彼の生涯には多くの謎があります。
 まず一つには、その『本能寺の変』を何故、起こしたのか。
 実のところ、その動機が今もって分かっていません。

 説はあります。

 明智光秀の親戚筋であった四国の長宗我部元親を討伐しようとしていた信長が、明智光秀の和平工作を御破産にしたから。
 足利義昭の家臣であった明智光秀にとって、信長の将軍家への振る舞いが許せなかったから。
 朝廷を蔑ろにする信長に危機感を覚えたから。
 手塩に掛けた自身の所領を取り上げられ、将来を悲観したから…等々。

 しかし、これらの説に関しては説得力が欠けている部分があります。
 数少ない一次資料から見ても、明智光秀にこれらの不満があったとて不思議はありません。
 ですが、内心で不満に思うことと、実際に謀反を起こすことの間には大きな隔たりがあります。
 『本能寺の変』の際、信長が近習に逃げるよう進言され『光秀ほどの者が手抜かりするとは思えない』と脱出を諦める発言をしていることから見ても、明智光秀は事前の準備を周到に進めて事を起こす人物であった筈。
 だというのに、『本能寺の変』の後の明智光秀の無策ぶりは、その信長の評価にそぐわないものです。
 細川、筒井といった親戚に助力を求めても断られ、結局、毛利攻めを中断して『中国大返し』で引き返してきた羽柴秀吉と、不利な状況で戦わざるを得なくなっていますから。
 羽柴秀吉が短期間で近畿に戻ってきたのは想定外だったでしょうが、信長の臣下との対戦は想定された事態であったというのに、何も対策ができていなかったのは手落ちとしか言いようがありません。

 そうしたことから、明智光秀にとって『本能寺の変』は望んでも得られる筈のなかった、気付いてはいけないチャンスであり。
 『もしかして?』と、後先を考えずに縋ってしまった、文字通り『魔が差した』…発作的な行動ではなかったのか。

 …というのが、最近の定説だとか。
 実際、『ときは今』などと詠んでおきながら、直前になって神社でお御籤を何度も引き直すなど、とても人事を尽くした人のすることとは思えません。



 彼にとって、山崎の戦いでの敗北からの死は、果たして…。



 そうそう、死と言えば…。
 また一つには、生まれと死がハッキリしないところがありましたね。
 明智光秀は明智の姓を名乗っていますが、何処の明智なのか記録がありません。
 『信長公記』において、足利義昭の上洛に際し、義昭から派遣された交渉役として登場するまで、何処で何をしていた人なのか分からないのです。
 一説には、若い頃は各地を放浪しており、その中で鉄砲を扱う技術を学び、その才能を買われて義昭に仕えるようになった…とも言われていますが。
 それも江戸時代に書かれた文献に登場するもので、何を根拠にしたものか分かっていません。
 明智姓を名乗る人物が将軍家に仕えていたというのなら、美濃の守護職を務めた明智家の人間だろう…という後世の人間の推測でしかないのです。

 その前半生が謎である上に、その最期も謎だったりします。

 明智光秀は、山崎において羽柴秀吉との決戦に臨み、敗北。
 戦場を僅かな部下とともに逃れ、再起を図るべく自身の旧領である丹波を目指しますが、その途中、落ち武者狩りをしていた農民に槍で刺され落命した…というのが定説です。

 この説は、『信長公記』の作者である太田牛一が『信長公記』の編纂にあたって、明智光秀の最期がどのようなものであったかを知るべく、噂を手掛かりに山崎周辺の農民たちに聞き込みを行い、明智光秀に槍を突き入れた本人を見つけ出し、その証言を記録したものが元になっています。
 しかし、その証言内容は『茂みに隠れていたところに落ち武者の一行が通りかかり、相手を確かめず槍を闇雲に突き出したところ手応えがあった。刺された相手は身分の高い人物であったらしく、周りが大騒ぎする中、「自分が死んだら首は菩提寺に送ってほしい」と遺言めいたことを言っていた』というようなもの。
 状況的に、明智光秀ではないか…とは思われますが、本当にそうだったのか。
 また、仮に明智光秀だったとしても、刺された後に本当に死亡したのか。
 その辺りがハッキリしません。



 やったことはハッキリしているのに、どんな人物であったのかが全くの謎という…。
 ある意味、お話を作る上で、これほど面白い歴史上の人物はいないかもしれませんね。

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