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独り言 その壱千六百壱拾八

 大きいだけの鈴蘭です。

 子供の頃。
 私の住む家は、山の中…六甲山への登山口の脇にありました。
 山の中といっても、阪急電鉄が積極的に開発を進めた結果、住宅地として結構拓けてはいたのですけどね。
 ただ、縄文時代から要害として利用されるほど険しい地形で、家に続く車道は非力な車では坂を登れず、立ち往生してしまうこともあったくらい。
 そんな高いところに在った家なので、窓からの眺めはなかなかのものでした。
 雨上がりの晴れた日には、遠く大阪平野にある大阪城、紀伊山地、讃岐山脈までが見て取れたくらいでしたから。

 落語の『池田の猪買い』…いえ、別の題目だったでしょうか。
 大阪に住む町人が、人から『池田に行くといい』と言われ、『えー…あんな遠くまで?』と難色を示す件があります。
 今であれば電車で30分もかかりませんが、江戸の昔であれば一日かけての小旅行です。

 遥か遠くに見る景色への、距離感の違い。

 今でこそ、あれは遠くに見えても近いものですが。
 昔の人にとっては、あれは近くに見えても遠いもの…だったのでしょうね。



 …いえ。
 今であれ、窓の向こうに在って触れられないもの、であるのならば。
 距離に関わりなどありませんか…。





 先日の、このニュースに触れ。
 私の住む家の、登山口を見下ろす位置にあった窓…。
 そこに座り、一日、ずっと外を眺めていた飼い犬のことを思い出しました。



 よく、『チップを埋め込むなんて可哀そう』という話を耳にしますが。
 私はそうは思いません。
 そう言うと『君は友達に酷いことをするのか』と怒られそうですが…。
 私にとっても、友達は友達です。
 但し、その関係は人とペットとしてのもの。
 人の社会の枠組みの中、ペットを友達として扱うには、守らなければならないことがあるのです。
 これが人とペットの正しい関係だというのなら、私たちは従うべきでしょう。

 ただ…。

 そもそも、人がペットをペットとしてきちんと扱うことができているのであれば、こんなことは必要ないはずです。
 人の不始末をペットに押し付け、この形になったことを思えば…他人事のように『可哀そう』などとは言えないと思うのですよ。

 現状、 義務化と言っても罰則はなく、チップは個人の裁量で埋め込むかどうかを決めることができるようです。
 チップなどに頼らなくとも、きちんと管理できる…というのなら、無理に埋め込むことも無いでしょう。
 ただ…。
 その為に、鎖に繋ぐのか。
 その為に、家に閉じ込めるのか。

 私としては、人の都合に付き合わされるペットを気の毒に思います。



 すぐ目の前の道を眺め続けていた飼い犬は、何を思っていたのか…。
 窓の外に焦がれるだけの生き方をさせ、友達とは…よく言ったものですね。
 つくづく…私は何もかもを周りに押し付けてばかりだったのだな、と。
 そんなことを思った鈴蘭です。
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